西国草創1300年とは?

斉明天皇2年(656年)、播麿国(兵庫県)で生まれた徳道上人(とくどうしょうにん)は、長きの修行の後、大和国長谷寺(現 八番札所)を開き、本尊の大観音像を造立されました。
病気の為、生死を彷徨った徳道上人は、閻魔大王にお会いになり、悩める人々を救うため、三十三の観音霊場を広めるようにと託され、閻魔大王より起請文と三十三の寶印を授かり、現世へと戻されました。
養老2年(718年)、上人は三十三ヵ所の観音霊場を設けましたが、その時代では(物資・街道が整っておらず)民衆が観音巡礼を行う条件が揃わなかった為、霊場が繁栄せず、後世に願いを込め、寶印を石棺(現 二十四番札所・中山寺)に納めたと伝えられています。
それより270年後の平安時代に、中興の祖である「花山法皇」が登場します。

青岸渡寺(現 一番札所)にて仏門修行に励んでいた法皇の前に、熊野権現が現れ、徳道上人が定めた三十三の観音霊場を再興するように託宣を受けたとされております。
その後、花山法皇は、中山寺の石棺に収められていた三十三の寶印を探し出し、「観音菩薩は33の姿に身を変えて人々を救う」という教えのもと、西国観音霊場巡礼を再興。
各寺院は「札所」となって順番に参拝する巡礼文化を生みました。
現在では「西国三十三所」と総称され、「日本最古の西国巡礼」として受け継がれています。
「西国三十三所」の総距離は約1,000キロメートルに及び、和歌山県、大阪府、奈良県、京都府、滋賀県、兵庫県、岐阜県の2府5県に各札所、寺院が点在しております。
折しも2018年は、奈良時代・徳道上人が発願された養老2年(718)より、数えて1300年になります。

■「西国三十三所草創1300年」主要10事業
1)「西国三十三所草創1300年記念法要」と特別散華の配布
草創1300年にあたる2018年4月15日、「西国三十三所」の創始者である徳道上人が開基された長谷寺にて記念法要が行われ、西国三十三所の全札所で特別散華を配布されます。
2)記念日「日本巡礼文化の日」制定
草創1300年を機に、日本最古の巡礼路として巡礼文化を次代へ継承するために、1)の「西国三十三所草創1300年記念法要」を行う4月15日を語呂合わせで「良いご縁の日」として「日本巡礼文化の日」に制定。 全札所で行う特別散華の配布を「年中行事の風物詩」と位置づけます。
3)特別印
西国三十三所草創1300年を記念して、全札所ごとにそれぞれの魅力等を表現した特別印をつくられ、納経帳に授与いただけます。
4)月参り巡礼
毎月1か所ずつ、1日限定で特別な法要を行い、法要日限定で特別なご朱印を授与いただけます。
5)特別拝観
普段は公開しない秘仏や宝物をはじめ内々陣を特別に公開されます。
6)徒歩巡礼
1300年前の巡礼を再現し、約1,000キロの巡礼路を徒歩で巡る記念事業です。
7)スイーツ巡礼
各札所に必ずある”甘い菓子(スイーツ)”にスポットを当てた新しい形の巡礼の形です。女性やファミリーにおススメです。
8)こども巡礼
子ども達に巡礼文化を伝えるために「こども巡礼」を推進します。その一環として「子ども用ご朱印帳」、人気漫画家CLAMPのオリジナルデザインを配したご朱印帳の販売が予定されています。
9)京都国立博物館「特別展」
記念事業の最後の年2020年の春、京都国立博物館で「西国三十三所草創1300年特別展」を開催される予定です。
10)アメリカ人僧侶によるツイートの旅
日本で僧侶階級を取得したアメリカ人・ジェシー・ラフィーバーさんの取組みです。ハーバード大学で学びながら西国三十三所を巡礼しSNSで魅力を発信されています。
ぜひ、この記念の年に西国三十三所をお参りくださいませ。